文庫本で上下巻以上の長編ミステリーのおすすめを紹介!
文庫本で「上下巻」というだけで身構えてしまいますよね。
ハードルが高いように感じるんだけど、いざ読み始めてみると止まらなくなる作品があるんです。
(逆に薄くても長く感じる作品もありますよね…w)
長編だからこそ、細部まで描かれ、物語にどっぷりつかれるというメリットもあります!
今回は、長編だけど、ハードルを超えて読んでほしい10作品を厳選しました。
それではどうぞ!
長編ミステリー
「犯罪者」太田愛
・デビュー作
・長編クライムサスペンスシリーズ第1弾
駅前広場で発生した通り魔事件。
そこで一人生き残った修司は奇妙な男から、「あと10日生き延びろ」と警告される。
修司は、刑事の相馬と、その親友の鑓水(やりみず)と共に事件の真相に迫る。
デビュー作とは思えないほどの完成度の高さ!
登場人物一人一人にドラマがあり、二転三転する展開にぐいぐい引き込まれます。
悲しい過去や、辛い現実、それに負けじと戦う人たち、大企業の闇、それぞれの思惑が絡み合い、
散りばめられた伏線を回収しながら進むストーリー。
読み始めたら止まらないノンストップ作品です!
太田愛さんのクライムサスペンスシリーズについてはこちら。
→太田愛さんの描く長編クライムサスペンスシリーズ!
「ワイルド・ソウル」垣根涼介
・大藪春彦賞受賞
・吉川英治文学新人賞受賞
・日本推理作家協会賞受賞
夢の楽園だと思っていたブラジル移住。そこで待ち受けていたのは想像を絶する地獄だった。
日本政府の愚政への責任を追求すべく、男たちの復讐が始まる。
戦後の日本で行われた移民という史実をベースにした重いテーマでありながら、
陽気な主人公のおかげでバランスの良い作品に仕上がっています。
前半のブラジル移住の壮絶な物語で釘付けになり、後半は復讐劇がテンポよく展開していく。
圧倒的なスケールで描かれた傑作です!
「新世界より」貴志祐介
・第29回日本SF大賞受賞作
人々が念動力を手にした1000年後の世界を舞台としたサイエンス・ファンタジー作品。
自然豊かで平和な集落で育った渡辺早季は、同級生たちと、とあるきっかけから、
1000年前の文明が崩壊した理由を知ってしまう。そして、平和が少しずつ崩れていく。
とんでもない世界観!もう一回言います。とんでもない世界観!
上下巻でもハードルが高いのに、上中下巻とさらにハードルが上がっているが、
そのハードルを超えてでも、読む価値のある大傑作!
読み始めたら最後、凄い世界に引き込まれて、最初から最後までドキドキが止まらない!
想像を遥かに超えるストーリーに読み終わるのがもったいないと思うほど。
私の読書歴史の中でも、印象深い作品の一つです!
「OUT」桐野夏生
・日本推理作家協会賞受賞
・映画化・舞台化
・テレビドラマ化
パート仲間の主婦が、DVに耐えられず夫を殺害したことをきっかけに、
平凡な主婦たち4人が自由を求めて日常を離脱し、「OUT」してゆく物語。
終始、暗い雰囲気が漂い、湿ったトンネルの中にいるような、そんな気分を味わえる作品。
暗いんだけど、その世界観が癖になる。
不倫にギャンブル、暴力、介護、嫉妬、そして、無関心…
日本の闇を描き、狂った複数の歯車が奇跡的に噛み合った瞬間、とんでもない扉が開く。
まさかの展開の連続で、ドキドキが止まらない!
「激流」柴田よしき
学校の修学旅行で一人の少女・小野寺冬葉が消息を絶った―。
二十年後。三十五歳となった六人に、突然、失踪した冬葉からメールが送られてくる。
「わたしを憶えていますか?」
めちゃくちゃ気になるあらすじですよねw
今まで平穏だったはずの日常が少しずつ流され、気づいたときには抜け出せない。
一人一人にドラマがあって飽きずに楽しめる作品。
そして、衝撃のラスト!このラストはあまりに…
「ジェノサイド」高野和明
・第65回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門受賞
・第2回山田風太郎賞受賞
・2012年版このミステリーがすごい! 1位
・2011年週刊文春ミステリーベスト10 1位
アフリカ奥地で極秘任務に着く男、父を亡くした東京郊外に住む大学生。
この2人の主人公のストーリーが交互に展開される。
まったく異なる環境の2人の物語が交差するとき、驚愕の真実に遭遇する。
映画を見ているような緊張感と疾走感!
目を覆うような凄惨な描写もあるが、スケールが大きく、息を呑む展開の連続で、目を離せない!
壮大なストーリーの中で、人間の怖さ、温かさを感じされる作品。
ただただ凄い!!
「スロウハイツの神様」辻村深月
アパート「スロウハイツ」には、脚本家であるオーナーと友人たちが共同生活を送っていた。
夢を語り合い、それぞれの好きなことに没頭する日々。
だが、空室だった201号室に新たな住人が入居するとー。
上巻は、それぞれの人物紹介を丁寧に描いているため、スピード感はゆっくり。
だが、下巻に入ると一気にスピード感が上がってくる。
上巻で散りばめられた伏線を、後半で一気に回収していくので上巻で諦めずに読んでほしい!
キャラが個性的で、かつ、創作の世界ならではの嫉妬や焦燥など、とても人間味が溢れている。
青春小説でもあり、ミステリー小説でもある本作、読後はとても心が暖かくなります!
「砂の器」松本清張
・映画化
・各局で計7度のテレビドラマ化
東京の操車場で男の遺体が発見される。
手がかりは、被害者が話すズーズー弁と、会話に出ていた「カメダ」という言葉。
捜査本部が解散した後も、老齢刑事は一人、諦めずに事件を追い続ける。
何度もドラマ化されている松本清張さんの代表作の一つ!
原作は読んでなくても、テレビドラマで見た方も多いのではないでしょうか?
昭和という時代、社会の闇を描いた社会派ミステリー。
老齢刑事・今西栄太郎の忍耐の捜査が凄い。
小さなきっかけを頼りに日本全国飛び回る。コツコツ、ほんとに少しずつ真相に近づいていく。
ひたすら忍耐の捜査なので、読むのにも結構忍耐が必要かもw
「背の眼」道尾秀介
・デビュー作
・ホラーミステリー大賞特別賞受賞
・テレビドラマ化
・真備シリーズ第1弾
作家の道尾秀介は、白峠村で妙な声を聞く。
恐怖に駆られた道尾は、霊現象研究所を営む友人の真備庄介に相談を持ちかける。
そこで目にしたのは、写真の被写体の背中に現れた眼。
背中に眼が現れた人が、その後自殺するというホラーテイストがありながらも、
本格ミステリーでもある作品。
霊的な要素と、現実の事件がうまく融合していて、独特な世界観に引き込まれる。
数々の伏線が回収されるラストはお見事!
独特の世界観の作り方と、読者への読ませ方がうまい!
道尾秀介さんの原点がここに!
「造花の蜜」連城三紀彦
・『ミステリが読みたい!』2010年 1位
・テレビドラマ化
スーパーで知り合いと立ち話をしている間に、息子の姿が見えなくなってしまう。
誘拐ではと疑うが、その後、息子はすぐに発見される。
だが、その一ヶ月後、前代未聞の誘拐事件が発生する。
誘拐でありながら、犯人は身代金を要求しない。
「そちらが払ってくれるというなら別だ。金額はそちらで決めろ。」と。
これだけでも気になってしまうけど、もちろん、ただの不思議な誘拐では終わらない。
二転三転する展開に、ラストはもう衝撃の結末!
登場人物がみなどこか影があって、怪しい人ばっかり。
何が真実なのか、気になって、気になって、ぐいぐい引き込まれる作品です!
おわりに
いかがでしたでしょうか?
長編だけど、どの作品も読み始めたら止めることができないほど面白い作品ばかりです!
徹夜にはくれぐれもご注意くださいw
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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