阿津川辰海さんの「紅蓮館の殺人」の感想を紹介!
あなたにとって最高の探偵は?
東大出身の25歳、阿津川辰海さんの館シリーズ第1弾「紅蓮館の殺人」。
数々のミステリランキングに入賞しています。
・「2020本格ミステリ・ベスト10」国内ランキング 第3位
・「ミステリが読みたい!2020年度版」国内篇 第5位
・「このミステリーがすごい!2020年度版」国内編 第6位
今回はそんな「紅蓮館の殺人」を感想とともに紹介します!
(内容に触れますが、結末には触れません!)
それではどうぞ!
「紅蓮館の殺人」阿津川辰海
内容
山中に隠棲した文豪に会うため、高校の合宿を抜け出した僕と友人の葛城は、落雷による山火事に遭遇。救助を待つうち、館に住むつばさと仲良くなる。だが翌朝、吊り天井で圧死した彼女が発見された。これは事故か、殺人か。葛城は真相を推理しようとするが、住人と他の避難者は脱出を優先するべきだと語り――。タイムリミットは35時間。生存と真実、選ぶべきはどっちだ。
(文庫裏表紙より)
感想(少しネタバレ)
山火事で脱出不能というクローズドサークル。
様々な仕掛けが施された館。
そして、偶然集まった、何かを隠しているようなメンバー。
まさに王道の設定!
ミステリー好きであれば、この時点で気になってしまうはず。
でも、王道すぎて特徴がないのでは?って思ったりするのではないでしょうか?
大丈夫です。もちろん特徴はあります!
本作は、「探偵」の存在意義とは?というテーマが軸にあります。
嘘を憎み、正義を重んじ、真実は追求すべきという真っ直ぐな探偵、葛城。
探偵に憧れながらも、探偵になることを諦め葛城のワトソン役となった、田所。
探偵であることに絶望し、探偵を捨てた、かつての名探偵、飛鳥井光流。
探偵が一人じゃないんです。
それぞれの探偵に対する想いが交差し、物語に厚みを持たせています。
「謎を解くだけだよ。僕は探偵なんだからね」
(本文より)
・・・
何が始まって、何が終わるのか。
今まで、探偵が謎を解くのを当たり前のように読んできましたが、
ここまで探偵について深く追求されると、探偵に対する見方が変わってきますね。
もちろんミステリーとしても素晴らしい作品です!
多くの伏線が散りばめられ、圧巻の推理、驚愕の展開を堪能できます。
しかも、隠された真実は一つじゃありません、何度も驚きます!
若干のアウトローな展開があったり、真実を追求するあまり山火事の緊張感が薄かったり、
というところもありますが、それを補って余りある作品です。
探偵の存在意義、そして、真実か脱出か。
本作を読んで楽しんでください!
おわりに
いかがでしたでしょうか?
クローズドサークル、探偵、館、こんなキーワードにテンションが上がる方なら、
間違いなく引き込まれると思います。
新しい館シリーズ、ぜひ手に取って読んでいただけたら嬉しいです!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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