乃南アサさんの「来なけりゃいいのに」の感想を紹介!
「幸福な朝食」でデビューした乃南アサさん。
「凍える牙」で直木賞を受賞しています。
上記以外にも多くの作品を発表しています。
そんな中から、今回はイヤミス短編集の「来なけりゃいいのに」を感想とともに紹介します!
(内容に触れますが、結末には触れません!)
乃南アサさんの人間観察力と、それを表現する文章力が楽しめる短編集です。
著者のデビュー直後に書いた作品も含まれているそうです。
それではどうぞ!
「来なけりゃいいのに」乃南アサ
内容
「仕事は半人前のくせに、口ばっかり達者になって」ベテランOLの多恵子は鬱々としていた。OA化に伴い仕事が減少、若いOLたちに疎んじられる日々である。が、そんな彼女を部長の一言が変えた。「彼女らを指導してやってくれ」俄然、発奮した彼女は活気を取り戻すが…(「春愁」より)。OL、保母、美容師―働く女たちの哀歓を描く傑作サイコ・サスペンス。
(文庫裏表紙より)
感想(少しネタバレ)
表題を含む7編からなる短編集。
・熱帯魚
・最後のしずく
・夢
・ばら色マニュアル
・降りそうで振らなかった水曜日のこと
・来なけりゃいいのに
・春愁
どの作品も働く女性(1作だけ学生)が主人公になっています。
個人的にゾワッとする展開が好みだった「熱帯魚」について、書いていきます。
上司に啖呵を切って退職した響子は、友人であるみどりと、真弓に励まされながら、
理想の職場を求めて、女性向けアパレルメーカーへ転職する。
励まされながらといいつつも、友人2人はそれぞれデザイン会社、出版社の編集部に勤めていて、
若干のマウント感が鼻につくw
自分が働いていて、友達が無職となると、そう思ってなくても、何となく偉そうになってしまうっていうのはあるあるかもだけど、文章で読むとやっぱり嫌なものだ…
(自分も気をつけようと反省したりして)
転職先の会社は、閑静な住宅街に立つおとぎ話に出てきそうな白い洋館。
室内には心地よいBGMが流れている。
まさに理想の職場!とテンションの上がる響子。ここから新しい人生が始まる!
という序盤の展開、だけど、人生はそんなに甘くない。
現実にありそうな理想と現実のギャップ、そして、女性同士の嫉妬や苦悩が渦巻く。
みどりは必要以上に笑って、はしゃいでいた。
(本文より)
「みんな、いろいろあるのよねえ、いろいろあるのよ」
そして、衝撃のラストへ…
ここから先は、実際に手に取ってお楽しみください!
女性同士の嫉妬とかっていうのは男の私にはちょっとわからないけど、
女性が読むと、きっと「こういうのあるある!」って共感するんじゃないかな?!
他の作品にも色んなタイプの女性が出てくるので、きっとお気に入りの作品が見つかるはず。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
誰にでも起こりそうな日常にある恐怖や、ちょっと特殊なエッセンスを加えた作品もあって、
どの作品も楽しめました!
短編なので、隙間時間に読めちゃうので、仕事の合間の息抜きにどうでしょう?
本選びの参考にしてもらえたら嬉しいです!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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